川満 彰
私たちに命をつなげてくれた人々は、どこで生まれどのように暮らし育まれてきたのでしょうか。そして私たちのアイデンティティはどのようにして創られてきたのでしょう。本大学では沖縄の民俗文化と、かつ、そのすべてを破壊した沖縄戦研究を柱とした平和思想を担当します。
誰しも人は出自に興味を持っていることでしょう。特に沖縄人は、日本本土と違い異なる民俗・文化を持ち、歩んできました。その歴史を振り返ると、沖縄は大国に翻弄され民俗文化を失い、戦争で家族を失いながらも自らの意思と権利を尊重し、全てではないですが実現してきた歩みが見えます。
現在、私は沖縄国際大学総合文化学部社会文化学科で平和思想を担当しています。学生には、沖縄の民俗と文化及び沖縄戦の実相を通して、真の平和とは何かを探求する場として提供しています。平和思想は単なる学問ではなく、ひとりの人間としての営み・暮らしを探求し、国民の権利として社会に貢献することを目的としています。
本大学では、学びたくても学べなかった学生、生きづらさを抱えた学生等々が集ることでしょう。学生のみなさんに、一人ひとりが活躍できる社会を共に創りあげることを目標に、授業を行いたいと考えています。
すでに日本はグローバル社会が成立し、その人材はあらゆる人々に求められる時代となりました。多彩で多様な人々が、それぞれの能力・適性を活かし、尊重し合いながら生きる力を身に付けて欲しいと願っています。本大学では全ての人々に学舎は開かれています。それに適う学びを提供できると確信します。
【1960年生まれ。2007年沖縄大学大学院 現代沖縄研究科沖縄・東アジア地域研究専攻修士。著書に『陸軍中野学校と沖縄戦』(2018年)、『沖縄戦の子どもたち』(2021年)。編著『戦争孤児たちの戦後史1 総論編』(2021年)、『太平洋戦争と子どもたち』(2022年)など(いずれも吉川弘文館)等がある。】