森 亜美
ろう難聴学生対象の英語を担当します。聞こえない人にとって英語を音声言語として学ぶというのはなかなか困難です。マジョリティである聴者の指導方法、つまり音声で指導するという方法でなく、マイノリティである当事者が、同じ当事者の言語で教わることでその負担が軽減されます。
英文読解が中心となりますが、文法についても理解してもらうよう努めます。また、日本語、英語のニュアンスについて皆で考えることで言葉の面白さを追求していきたいと考えています。高校までは教科書通りに学んでこられたと思いますが、「難聴」「補聴器」「手話」「人工内耳」「ろう学校」などなどろう難聴者にとって身近な言葉を英語にするとなると、はて、なんだっけ?と首をかじける人が多いです。ここではマイノリティ、ろう難聴、手話、などをテーマとした英文記事などを扱い、身近な問題を英語で読み考え、さらにそれをまとめあげる、ということを目標としたいと思います。
また、英語を学ぶことで視野もグローバルになり、その背景であるアメリカなどの歴史や文化を知ることも可能になります。これもリベラルアーツとして皆さんが身につけるべきものと私は考えています。
【1987年早稲田大学第一文学部史学科西洋史学専修卒、森壮也との共訳として、C. Padden & Tom Humphries, Deaf in America – Voices from a Culture, Harvard University Press, 1990の『新版「ろう文化」案内』(2016明石書店)、C. Padden & Tom Humphries, Inside Deaf Culture, Harvard University Press, 2005の『「ろう文化」の内側から−アメリカろう者の社会史』(2009明石書店)がある。その他にも論文等の翻訳、監訳多数。】