熊本 理抄
自由選択科目「マイノリティによる社会運動~人種、階級、ジェンダーをめぐるインターセクショナルな運動」を担当します。
私は、幼少期から部落解放運動のなかで育ちました。留学中に先住民族や性的マイノリティの人権運動に出会ったことをきっかけに、大学卒業後、反差別国際運動(IMADR)という国際人権NGOで働きました。現在は、被差別部落女性の解放運動およびインドやネパールのダリット女性による解放運動、世系に基づく差別とジェンダーの複合差別を研究しています。
授業では、現代社会における人権課題を、自己理解、他者理解、社会構造の視点から学修します。重視するのは、課題克服と人権獲得に向けたマイノリティのとりくみ、人権保障の実現に向けた市民社会の努力です。人権は、誰かによって与えられるものではなく自らが闘いとっていく実践であり、人々の闘いのなかで成熟し培われてきた思想です。その闘いをしてきたマイノリティが社会をどのように見て、どのように変えてきたのかをインターセクショナリティ(交差性)の視点から考察します。尊厳を守るべく抵抗してきたマイノリティの実践を受け継ぎ発展させていく力を学生の皆さんとともに深めていきたいと思います。
大阪府立大学大学院人間社会学研究科博士課程修了、人間科学博士。著書に『被差別部落女性の主体性形成に関する研究』(2020解放出版社)、『近現代日本の部落問題3 現代の部落問題』(共著、2022解放出版社)、『沈黙する人権』(共著、2012法律文化社)、『人権論の再定位』(2011法律文化社)などがある。